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2023.07.26

当社取締役の佐藤和秀先生の研究成果「光応答性 "Smart ADC" 開発」が、文部科学省 マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM Japan)のニュースレターに掲載されました。

光応答性 "Smart ADC開発"

https://nanonet.mext.go.jp/data/doc/1689741969_doc_11_0.pdf

近年開発された近赤外線免疫療法(NIR-PIT: Near-Infrared photoimmunotherapy)は、2011年に米国国立衛生研究所(NIH)・米国立癌研究所(NCI)の主席研究員 小林久隆博士が開発した治療技術で、がん細胞表面の抗原に特異的に結合する抗体に近赤外光線に反応するプローブを付け、光を当てた部位にのみ超選択的な治療が可能となる手法です。

NIR-PITは、すでに再発既治療切除不能頭頚部がんに対して日本での承認取得がなされ、実用化されている技術です。

一方、従来の抗体医薬(ADC; Antibody Drug Conjugate)と呼ばれる抗体と薬剤が結合した薬は、世界中でさかんに開発・実用化されており、免疫チェックポイント阻害剤と並び、抗がん剤の主流となっています。

今回、ARIM Japanに掲載された研究は、このNIR-PITとADCの良いポイントを合わせた技術です。

Smart ADCでは、薬物としてNIR-PITの機能に加え、従来の抗がん剤も付加させた物質を使用します。これにより、抗原を発現した細胞への光照射によりNIR-PITでの抗腫瘍効果に加え、光照射後にSmart ADCに付加された抗がん剤が同時にリリースされること(Photo-bystandar 効果)により、抗原の発現が少ない腫瘍細胞に対しても抗腫瘍効果が期待でき、がんの根治に近づける技術となることが期待されます。

本研究は、当社取締役で名古屋大学 医学部特任講師の佐藤和秀先生が、文部科学省 ARIM Japan 令和4年度 秀でた利用成果「最優秀賞」(2023年2月1日)の受賞内容となります。

当社はこのような、光を利用した先端医療技術の実現に必要となる光照射デバイス開発を通じ、新たな治療選択肢を提供し、みなさまの健康寿命の向上に寄与するための開発を行います。